酒道とは
我らは、ここに酒道~みやこ流~をたちあげる。
- ◆我らは、京(みやこ)を愛し、その四季のうつろいとともにある季節の酒を愛でる。
- ◆我らは、「身士不二」に基づいて、京野菜を食材の中心におき、京の風土が育む食材とともに酒を楽しむ。
- ◆我らは、酒が良い水、良い米、良い人の上に成立する麹文化であることを確認する。
- ◆我らは、酒が並行複発酵の自然摂理のよってもたらされることを言いあげする。
- ◆我らは、酒を以って真を養う。
- ◆我らは、時代に流さず時代を超えて、利休の茶道が存在しつづけるように、豊かな心で
酒の嗜み方をきわめる道としての酒道の誕生を宣言する。 - ◆我らは、「家は漏れほど、食は飢えるほど」とするわび茶の価値観を共有する。
- ◆我らは、古今東西、酒を愛した多くの先人から学ぶ。
- ◆我らは、李白・陶淵明・白楽天・ボードレール・大伴旅人・吉田兼好・芭蕉・山頭火・若山牧水・坂口謹一郎
・小津安二郎・北大路魯山人・上原浩・栗山一秀・小泉武夫らを先人と評価する。
- ◆酒道は、和の嗜みの礼から始まる
- ◆酒道は、かけ軸とともにある始まる
- ◆酒道は、食とともにある
- ◆酒道は、知とともにある
- ◆酒道は、農とともにある
- ◆酒道は、旬と自然とともにある
- ◆酒道は、京(みやこ)とともにある
- ◆みやこ流は、心の通じる人と酒を飲む
- ◆みやこ流は、酒を通して心をかさねあう
- ◆みやこ流は、京の花と鳥と風と月と一体となって酒を愛する
- ◆みやこ流は、食にこだわり、食文化とともにある食中酒として酒をみる
- ◆みやこ流の食とは、身体にやさしい燗酒文化の再建、普及をよびかける
- ◆みやこ流はないより、旨い酒にこだわる"うま酒はうましともなくのむうちに酔ひてののちも口のさやけき"
(坂口謹一郎) - ◆みやこ流は酒の道の様式、礼儀作法の美意識にこだわる
- ◆みやこ流は、美しい酒器にこだわる
- ◆みやこ流は、素朴で剛直な詩心の表出として酒器を展望する
- ◆みやこ流は、京焼、そして、全国世界の酒器にこだわる
- ◆みやこ流は、陶芸家を見出す旅に出る陶工・河井寛次郎=この世は自分を探しに来たところ=という
言葉を残している - ◆みやこ流は、歴史を持ち地方文化の担い手でもある伝統の蔵元の永続をひろく世に訴える
- ◆みやこ流は、杜氏の世界の技術と特有の気質の継承発展に寄与する
- ◆みやこ流は、酒にまつわる、あらゆる文化・学問にこだわる
- ◆酒は人の心を豊かにし、その座において人を等しくしていっさいの差別をのりこえる。
酒は酒量を誇るものではない。
酒の功罪を自覚し酒におぼれるような類いはみやこ流とは無縁と考える。 - ◆酒は、楽しく飲んで楽しく心を潤す、いい酒でありたい。
楽しく酔う境地にその極意があると考える。 - ◆酒道みやこ流は侘しい酒・悲しい酒・はしたない飲み方・品のない酔い方をとらない。
- ◆日本の酒は世界に通じる古事記にさかのぼる日本の酒の起源は、中国、朝鮮、南方、の稲作文化の
伝播とともにあり、アジアの、世界の心とともにある。 - ◆朝鮮半島では「酒はオルン(年長者)の前で習え」という。
礼節を踏まえて飲む習慣の事でもある。李朝には、郷飲酒礼という言葉があった。
年長を敬恭し老人を孝養し食物を粗末にせず感謝するという酒の心である。 - ◆韓国には風流・情・義理・諧謔の四つの言葉を表す(モッ)という言葉がある。
我らはモッのある人、いわば、人間味のある人の中に酒の心があるものと考える。 - ◆酒は酒にして酒にあらず。「酒中在心」の心が大切と考える。
- ◆「萬事酒盃中」(ばんじさけさかずきのなか)(何事も酒なくしてかなわない)の心にも酒がある。
- ◆お酒の心は心の奥底から信頼できる友に逢うようなものである。
偶有名恰逢知音(たまたま名酒ありあたかも心を知りあった友に逢うようなもの) - ◆お酒の心はなによりも真誠の自由を愛するところにある。
- ◆酒の原点は自然環境である。
自然の恵みに支えられた酒造りは、自然を守るということからはじまる。 - ◆酒は、米と水と杜氏で決まる。いい米とは、農業問題である。
いい杜氏とは、杜氏の技術とともにどういう「人がどのような考え方でどう仂いているかという人の問題である。 - ◆酒は酒造りに携わる人の和から生まれる。酒造りは、米づくりから生まれる。
- ◆愛飲家が中心となり、米作農家・蔵元・酒屋・飲食店が酒の文化の原点に立ちかえり、酒のあり方を
ともに考え新しい酒文化の創造にむけて合意をめざす。 - ◆日本酒の千年余りの歴史の中で最大の汚点である三増酒をけっして許さない。
その原因であった戦争の愚をくり返さない。
酒は平和な人間生活の根源とともにある。 - ◆日本酒は純米酒であるという基本に立ちかえる。純米酒を極める酒とは何かを真剣に
考え酒のあり方の合意をめざす。 - ◆酒道は学問でもある。
- ・いい水、いい空気は地球物理学である
- ・酒の心は人生の心であり、文学であり、詩単価、演歌=艶歌である
- ・飲む人間のこだわり、働く人との忘憂は人間学であるそして酒造りは発酵学である
- ・酒の流通は経済学であり酒場は社会学でもある
- ・アルコールと健康は医学である
- ◆日本酒は数少ない自給率100%の日本の暮しに密着する伝統文化である。
- ◆酒は酒にしたがって法をつくることが大切である。もし法に従って酒を造らせるようになれば、
それはそれは酒を殺すことだ。 - ◆日本酒は、常に世界の酒から日本の酒をみる視座をもたなければならない。